この章では、極限計算におけるロピタルの定理(L’Hôpital’s Rule)について紹介していきます。
ロピタルの定理の定義と基本性質
- ロピタルの定理とは、不定形 \( \frac{0}{0} \) や \( \frac{\infty}{\infty} \) の極限を求める際に、分子・分母をそれぞれ微分して極限を取り直すことができるという定理です。
- 具体的には、関数 \( f(x) \)、\( g(x) \) がある点 \( a \) の近傍で微分可能であり、 \[ \lim_{x \to a} f(x) = \lim_{x \to a} g(x) = 0 \quad \text{または} \quad \pm\infty \] かつ \[ g'(x) \neq 0 \] が成り立つとき、 \[ \lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \frac{f'(x)}{g'(x)} \] が成立します(極限が存在する場合)。
- 同様に、\( x \to \infty \) や \( x \to -\infty \) の極限にも適用できます。
概説
極限の計算で、直接代入すると \( \frac{0}{0} \) や \( \frac{\infty}{\infty} \) の不定形になる場合、 分子と分母をそれぞれ微分し、再び極限を取ることで答えを求めることができます。
ただし、適用するには次の注意が必要です。
- 分子と分母がともに微分可能であること。
- 分母の導関数 \( g'(x) \) が0でないこと。
- 微分後の極限が存在すること。
適切に条件を確認した上で使うことで、極限計算を大幅に簡単にできます。
例題
次の極限をロピタルの定理を用いて求めなさい。
- \( \displaystyle \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} \)
- \( \displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{\log_e x}{x} \)
略解
- (1) \[ \lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} \] は直接代入で \( \frac{0}{0} \) となるので、ロピタルの定理を適用。 \[ \lim_{x \to 0} \frac{\cos x}{1} = \cos 0 = 1 \] よって答えは 1。
- (2) \[ \lim_{x \to \infty} \frac{\log_e x}{x} \] も \( \frac{\infty}{\infty} \) となるので、ロピタルの定理を適用。 微分すると、 \[ \lim_{x \to \infty} \frac{1/x}{1} = \lim_{x \to \infty} \frac{1}{x} = 0 \] よって答えは 0。
答え: (1) \( 1 \) (2) \( 0 \)
